濱野さん(浜松医科大学生)ザンビア活動報告

先日は、お忙しい中訪問させていただきありがとうございました。巡回診療のみならず、その背景の活動まで見学させていただき、とても貴重な経験となりました。
先生のもとを訪れる前は、実際に診療に行くとき以外の活動が、なかなかイメージがつかなかったのですが、想像以上に様々な準備・報告作業がありました。私が見学させていただいた限りでも、薬の買出し・パッキング・在庫の数の調査・カルテからのデータの整理・車のメンテナンス・報告書の作成等。先生のいない3ヶ月分の準備・報告も含むと、膨大な仕事量になります。それらを全て、さらに私の知らない範囲の仕事もこなしていきながら、ほぼ週に1回のペースで巡回診療を行う先生の原動力にはとても驚かされました。
ルアノ地区の巡回診療は、ほかの方の感想文などを読み、心して出発したものの、最後のラフロードの道のりは衝撃的でした。途中で車のタイヤの部品をスタッフ全員で直したり、道端の木を斧で切り倒したり、水のある川を横切らなくてはいけなかったり、それらを初めて経験した私は、そのときはまるでアトラクションに乗っているような気分で興奮していましたが、毎回あの道を通って診療に行くことは、移動だけで大変な体力が消耗されるだろうと思います。
道の途中では、川で水を汲む女性と遭遇しました。川のほとりで穴をほり、滲みでてきた水をすくいます。バケツに注がれた水は、土色で非常に驚きました。その土色の水を飲み水として、大切そうに汲んで帰る姿を見て、ただ目の前の病を治療していくだけではなく、その周りの環境も整えていくことが非常に大切なのだと強く実感させられました。先生の作った井戸もその一環であり、先生が車の中で、「医療を提供することも大切だけれど、教育が一番大切なのだと思う」と言ってくれたこともその一つなのだと思いました。実際に井戸の周りでは、嬉しそうに水を汲んで飲む住民の姿がありました。井戸や巡回診療の周りは、診療に訪れた以外の住民も含めて沢山の人たちが集まって、とても賑わっていました。先生の取り組みがきっかけになって、住民の人たちが楽しく医療や安全な水にアプローチすることのできる場が作られていました。
私たちの車が診療の現場に到着すると、すでに大勢の人たちがいました。CHWの方以外にも巡回診療の時には毎回無償でお手伝いしているという何人もの人たちに出会って、住民が山元先生をはじめORMZの皆さんを歓迎していることが非常に伝わってきました。初めて訪れた私にも沢山の人が笑顔で話しかけてくれ、とても嬉しくなりました。
私が参加した日の巡回診療は、患者さんが少なかったそうですが、それでも診察室は沢山の住民の姿で賑わっていました。彼らを手際よく診察していきながら、一人ひとりにしっかりと向き合う山元先生の姿は、とても素敵でした。後日先生が、「聴診器を当てても分からないことも多いけれど、患者さんにきちんと向き合う姿勢が大切」とお話してくれましたが、先生の診療はまさにそのとおりでした。また当たり前のことですが、巡回診療では、症状を即時に判断し、処置を考える必要があります。これまで私は目の前の勉強をおろそかにして、先の将来ばかりを見て悩んだりしてきましたが、まずはしっかりと医師としての力をつけなくてはと身を引き締められました。
ルアノからの帰りの車では、1組のお母さんと子どもが車に同乗しました。その小さな子どものために、山元先生が童謡や津軽海峡冬景色を歌い、車の中はとても盛り上がりました。先生の‘コミュニティーの人たちに笑顔になってほしい’という思いがとても伝わってきました。そういった診療でない部分も含めて、先生が地域の人たちを思いやる優しさがとても印象的で、私も将来どこで医師として働くことになっても、先生のような優しさを持った医師になりたいと強く思いました。
最後になりますが、お忙しい中お時間を割いていただき本当にありがとうございました。早く一人前の医師になることを目指して、これから精進していきます。今後もよろしくお願いいたします。
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