ルアノ地区巡回診療同行レポート(長野由佳先生)

山元先生
この度は、ルアノ地区へのモバイルクリニックに同行させていただき、誠にありがとうございました。簡単ではありますが、今回の経験を振り返り、感想を送らせていただきたいと存じます。
約3年半前、研修医のときに1ヶ月間UTHで研修させていたのがザンビアとの出会いでした。その後、なんとなくザンビアという国が心の中にあり、昨年偶然にも山元先生の地道な活動を知る機会があり、ぜひ自分の目で直接活動を見学させていただきたいと思い、今回同行をお願いしました。
当日は、前回の研修で知り合った現地の看護師さんとともに同行させていただきました。朝6時にルサカのホテルを出発し、ルアノへ向かう道の途中でORMZのスタッフの方と合流しました。その後、チペンビヘルスセンターで2人のスタッフと合流し、ランドクルーザー2台でルアノに向かいました。ルアノへの道は、事前にお聞きしていた通りかなりのrough roadで、スタッフの方が、雨期には車が道にはまってしまって動けなかったり、道路の一部が川の様になって動けなくなってしまったり、ということもあると言われているのが印象的でした。
現地に着くと、多くの患者さんが待っておられ、準医師や保健師、看護師といったスタッフの方々と、コミュニティのヘルスワーカーさんがてきぱきと、ルサカから運んできた医療器具や医薬品、検査キットなどを準備し、受付が始まりました。以前は茅葺き屋根の下で診療を行っていたとのことですが、今はその手前に2つ建っているレンガ作りの建物を使っていました。1つは受付兼診療後に医薬品を渡す場所、もう1つを、5歳以上の患者さんの診察をしたりマラリアの検査をしたりする場所として使っていました。そして、少し離れた大きな木の下で、5歳以下の小児の健診(体重測定等)と予防接種をしていました。
各患者さんにはカルテがつくられ、また、小児には一人一人に日本での母子手帳のようなカードがあり、思っていた以上に一人一人の健康がきちんと管理されていると感じました。また、小児の健診場所を診察場所から隔離していることについても、日本で当たり前と言えば当たり前ですが、限られた場所しかないルアノでもそれがきちんと合理的に行われており、さすがは小児科医である山元先生のお考えなのだろうと思いました。
見学させていただいた日の患者数は120人程度と伺いましたが、それでも少ない方だと聞き、早朝にルサカを出発してから休憩もなく午後まで働かれているスタッフの方々には本当に頭の下がる思いでした。
見学の途中、コミュニティの生活の場にも連れて行っていただき、メイズを精製したり、生きた鶏をしめてボイルし毛をとって調理したりする場面を見せていただき、よい経験をさせていただきました。そのときに案内してくれた現地の方の態度や話し振りからも、山元先生をはじめとするORMZの方々のことをとても信頼し感謝している様子が伝わってきました。また、村の中には、29,31号のORMZニュースで読ませていただいた井戸があり、この日も村の小さな子がたくさん集まって、楽しみながら井戸の水をくんでいるのをみて、ORMZの活動がいかに広くこの村の人々の生活に貢献しているかを肌で感じることができました。
また、モバイルクリニックの活動が、山元先生がザンビアにみえないときにも、きちんと隔週でザンビアのスタッフだけで定期的に行われ継続していることが何よりもすごいと思いました(ここにいたるには様々な苦労がきっとあったことでしょうが…)。なお、現在はルアノの他にも2地区へ、それぞれ月1回行かれていると伺い、さらに多くの方々が、山元先生をはじめとするORZMの活動で救われるのだという事実に、心打たれました。
今回、モバイルクリニックに同行させていただき、前回の首都ルサカの大学病院での医療とはまた違った医療を見ることができ、とてもよい経験をさせていただきました。また、ザンビアに長く住まれている山本さんから、ザンビアに関しての現状やORMZのこれまでの活動や思いについてお話を伺うことができ、とても勉強になりました。ここには書ききれないくらい、本当にいろいろなことを感じ、医療について考えることができました。今回の経験が、多少なりとも、医師としての成長にプラスになったのではないかと思います。日本に帰り、いまは日常診療に戻っておりますが、とでも貴重な経験をさせていただいたザンビアの方々に、いつか何らかの形で恩返しできればと思います。
まとまりのない文章で申し訳ありませんが、今回の見学で感じたことを述べさせていただきました。今回、山元先生にお会いできなかったことが残念ですが、お忙しい中このような機会をつくっていただき、誠にありがとうございました。10月中旬には、またザンビアへ行かれると伺いました。ザンビアへの長旅も含め、くれぐれも体調を崩されることのないようご自愛ください。先生をはじめとしたORMZのスタッフの方々の活動が今後も継続され、ザンビアの地域の方々の健康が維持されますことを願っております。
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