巡回診療同行報告1(ロシナンテス 川原尚行様)
日時 2019年8月21日
場所 リテタ村
1.スケジュール
朝3時半、ロシナンテスが宿舎としている10マイルズに運転手が迎えに来る。
途中スタッフをピックアップしながら、リテタ村に到着したのは9時ごろ。
セッティングののち、診療開始は10時。15時、診療終了
昼食を済ませた後、16時にリテタ村を出発
村を出たところで、スタックしたトラックがあり1時間の立ち往生。
行きと同じようにスタッフを送った後に、10マイルズに帰り着いたのは22時。
2.メンバー(車2代に分乗)
運転手2名、クリニカルオフィサー、助産師、看護師3名、ヘルスボランティア4名(受付2名、検査医薬品管理担当2名)、それに川原
3.診療の流れ
(1)受付 お母さんが番号の書かれたカードを持ち、それを受付に提出。その番号にあわせてある診療ノートを探して、お母さんに診療ノートを手交
(2)体重測定、体温測定、血圧測定(大人のみ)
(3)上記の結果を診療ノートに記入
(1)から(3)までは木の下で行う
(4)マラリア検査を受ける(建物A)
(5)マラリア検査の結果を持ってクリニカルオフィサーの診察を受ける(建物B)
(6)マラリア検査陽性の場合は処方箋を受け取り建物Aに行き薬をもらう。診察の結果他の検査が必要な場合には建物Aに行き検査を受け、再び診察へ、そこで処方箋をもらうと建物Aに行き薬をもらう
(7)建物Cは助産師がいて、希望する女性を診察する。主に家族計画指導と産前検診を行う。
(8)最終的に診療ノートをスタッフに渡して終了となる。
*検診、診療、検査に関して全て無料で行われていた。
4. スタッフの配置
木の下:ヘルスボランティア2名
建物A:看護師2名、ヘルスボランティア2名
建物B:クリカルオフィサー1名、看護師1名
建物C:助産師
運転手は適宜ヘルプを行なっている
5. 道中での診療
巡回診療地に行くときに1名、巡回診療を終えて帰る道すがら2名の患者さんが道端に立っていて1名にはマラリア検査を行い(結果陰性)全ての患者に対して投薬を行なった。1名の患者がさらに待っていたが、次週の巡回診療に来るように言っていた。
6. 巡回診療先の受け入れ態勢、人々の様子
お母さんが協力して食事を作ってくれ診療終了後にはスタッフ全員で建物Dの中、食事をいただいた。
お母さんたちは番号の書かれたカードを大事に保管していて、巡回診療の大切なことを理解しているように思えた。
子供にも綺麗な服装を着せて、この巡回診療が「ハレの場」であるようである。
巡回診療のスタッフに売るために干し肉(インパラ、ラット)や魚を持ってきている人もいて、それらは完売しているようであった。
巡回診療スタッフは自分が持ってきたパンを村の人たちに販売していた。シマよりもパンの方を好んで食べているらしく、多少の高い金額を支払ってでもパンを購入するようである。
8. 感想
過酷な道を長時間かけて巡回診療先まで行き、車に掲載していた機材を手際よく、スタッフ全員が力を汗せて、車外に出しセッティングを行っていた。最初のセッティングを見て、チームワークの良さを感じると同時に手馴れている様子が理解できた。ベテランのクリニカルオフィサーは患者さんに丁寧に説明をしていて、村の人たちからの信頼はとても厚いように思えた。同様に助産師もお母さんに対して、丁寧な検診を行っていた。出産する場所は、リテタ村ではなく数キロ先の診療所であり特に決まった場所があるようではない。出産した場所で産後検診が行われているようで、この出産そして産後検診する診療所と巡回診療チームの連携が
マラリア検査は全員に対して行われ、今回の診療では109例に対して35例が陽性であった。この地域に高い罹患率であることがわかった。
道中の患者に対して、時間が制約されるために簡単な問診を行ってのみの投薬であり、診療録に記載はなかったが、致し方のないことか。電話の通じない中で、いつくるかわからない巡回診療者を待つ患者さんは大変なことであろう。通信手段が良くなることを祈るばかりである。
運転手は、新しい山の中を行くといき、途中道先案内人を乗せてほぼ道なき道を走ってくこともあった。通常の道よりも時間短縮ができるとのことであった。過酷な運転ののちに診療中も休むことなくヘルプを行なっていた。さらにスタックしたトラックを脱出させるのも人一倍の働いており獅子奮迅の活躍であった。聞くと、朝2時半くらいに家を出て、帰りは深夜近くになるという。このリテタ村への巡回診療が最遠とのことであったが、運転手への負担はかなりなものであることであろう。
雨季の間、昨年の12月から今年の4月までの5ヶ月間は道路事情の悪化から巡回診療に行けなかったという。運転手は、大いなる挑戦で雨季での巡回診療を行いたい旨のことを言及していたが、現状では無理と思われる。雨季にマラリアで死亡例も見られるようで、雨季の最中の診療は喫緊の問題である。考慮できる対処法としては現地のヘルスボランティアをさらに教育し、マラリア検査と治療薬の投与ができるようにするのが今の状況では最善のように思われる。またその際には、通信手段を確保して定時連絡でもよいので、巡回診療チームリーダー(運転手か?)と連絡を取る体制を構築することも必要ではないか。
この巡回診療への視察にあたり、山本先生にご許可いただき、またオペレーションを組んで下さった芦田様には大変お世話になりました。また、素晴らしいスタッフや巡回診療先の村の人たちの協力もあり大変勉強になりました。心より御礼を申し上げます。
我々もザンビアで地域医療に尽力していこうと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
ロシナンテス 川原尚行
お忙しい中、感想文と写真ありがとうございました。
リテタ地区にはコミュニティヘルスワーカーCHWが一人しかいないので、できるだけ早く、もう2-3人のCHWを養成しなくてはと考えています。雨季の巡回診療ができない時には、CHWの仕事が継続できるように、必要な薬品をできるだけ近くまで搬送するようにしていますが、携帯電話がつながらずとても苦労しています。
道中の患者診察は診療録には記載せず、emergencyというファイルの中に患者名、年齢、住所、診断名、治療について簡単に記載しています。
運転手を含めた現地スタッフ、CHW、ボランティアのがんばりにはほんとうに頭が下がります。今回はいろいろなコメントありがとうございました。みんなで更に検討し、より良い活動にしていきたいと思います。
ありがとうございました。 山元香代子