ムワンタヤ地区への巡回診療同行記

山元先生の大学の同級生のご子息が医学生となり、巡回診療に同行しました。彼からの報告です。

電気も水道もない村落での出張診療。30万キロも走ってきたランドクルーザーを労りながらの凸凹オフロードドライブ。次から次へと出てくるマラリア検査陽性の結果。5時間半休みなしの診療を行なう山元先生の患者に向けるあたたかい眼差し。それらがムワンタヤへのモバイルクリニックに同行させていただいた6月4日に得た印象である。

この日は朝6時にルサカのオフィスを出発の予定だったが、待ち合わせの時刻を過ぎてもドライバーが現れないというアクシデントに見舞われ、急遽、先生とクリニックに必要な物品一式をのせたランドクルーザーを運転させていただくこととなった。かつて南アフリカの車社会で生活していたので、ザンビアでの運転に不安はなかったが、幹線道路以外の道路はお世辞にもコンディションが良いとは言えず、とりわけ日が落ちてからのオフロードではかなり神経をすり減らした。

さて、ムワンタヤへ到着したのが午前10時半。我々の到着を、首を長くして待っていた住民のために、息つく間もなく必要な物品を車から下し、会場を設営して診療スタート。私もどこか人手が必要なところを手伝いたいと志願し、マラリア検査を担当することとなった。マラリアにたびたび感染している場合、マラリアに対してある程度自己免疫がついているためか、感染しても発熱など見られないことがあるらしく、倦怠感、頭痛があれば検査を受け、それで陽性の結果となる患者が後を絶たない。一緒に検査を担当したコミュニティヘルスワーカーの方と脇目もふらずに手を動かし続け、ようやく一息つけたころには午後3時を回っていた。ムワンタヤはルアノに比べてマラリアが少ないと聞いていたが、この日のマラリア検査陽性率は4割以上。小児や免疫力の落ちている患者では致命的である一方、薬で治せる疾患だけに診断が重要であり、モバイルクリニックがまさに多くの患者を救っていることを実感させられた。

すべての診療が終わったのは午後4時ごろだっただろうか。ムワンタヤの住民の方々が用意してくださった昼食をいただいた。その鶏肉の美味しいこと。夜明け前に朝食にとってからほとんど何も口にしていなかったので、いくらでも胃袋に収まりそうな気がした。あとは撤収してルサカへの帰路につくのみ。そう思っていたら、村人の一人がどうしてもモバイルクリニックの会場まで来られないので、往診に行くと言う。村人の健康のためにはできる限りの手を尽くす先生の姿勢、そして、訪問先のお宅で診察を終えて、おどけた仕草で子どもを楽しませる先生の笑顔、最高に素敵だった。

末筆ながら、お忙しい中、今回の見学を受け入れてくださり、ありがとうございました。将来、自分がどのような姿勢で医療に向き合うか考える上で、非常に貴重な材料を得ることができました。もう少し先生のお役に立てるようになって、またザンビアの先生のもとを訪ねたいと思います。厳しい環境ですが、くれぐれもお身体ご自愛ください。

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