ルアノ地区に井戸を掘りました

「ルアノにきれいな水を! 長年村人たちが夢見た井戸が実現。」

 

6月12日、井戸掘削会社の大型トラック4台とピックアップトラックを先導して、ORMZのランドクルーザーが通い慣れたルワノの悪路をいつもよりグッとスピードを落とした時速10km以下で進んでいく。

大きなトラックがあのきついV字の谷を通れるのか?その後の急な上り坂は登れるのか?そして大きな石がゴロゴロしているあの難所は???ルアノの住人たちはトラックが通れるように道に張り出していた木の枝を払ってくれてはいたが、ザンビアでも有数のこの悪路はいかんともし難い。正直言って井戸掘りチームの車両が本当にルアノにたどり着けるかどうかは五分五分かそれ以下だとランドクルーザーに乗った誰もが思っていた。

バックミラーにトラックの姿がなかなか現れないと、今度こそ前進できなくなったかと最悪の事態を想定する。しかし、しばらくすると砂埃の中から勲章のように掘削機に木の枝を引っ掛けた姿でトラックが巨体をゆさゆさ揺れながら誇らしげに現れる。

苦闘数時間。何度もハラハラさせられたが、井戸掘りチームはついに無事現場に到着し、ルアノ住人の歓喜の声と踊りにつつまれた。

一息入れる間もなく、トラックの上の掘削機が立てられて盛大に埃を巻き上げながらルアノの住民が長年夢見ていた井戸掘りが始まった。

 

1本目の井戸は、いつも診療を行っている小さなヘルスポストの前方に掘られた。よほど運がよかったのか、我々が翌日昼ごろ到着した時には既に60mを掘り終わり排水路まで完成させていた。ルアノに井戸水が噴き出る出る歴史的瞬間を見逃してしまったのである。残念! 実をいうとあまりに完成が早かったので、水が出た喜びよりも本当に60m掘ってくれたのかと掘削会社を大いに疑ったのだが、水は出ているし掘削過程で地中からでた砂・石などのサンプルもきちんとあるので大丈夫だろうということになった。

2本目はヘルスポストから約5kmの隣の村落に掘った。この井戸はずいぶん苦戦した。一か所目のコミュニティースクール校庭は水が出ない、二か所目のコミュニティースクール向かいのグラウンドも空井戸、三カ所目もダメで四カ所目でやっと水が出た。

両井戸とも排水路も完成し使うばかりとなったのだが、ザンビア大学で水質検査したところ、ヘルスポストの井戸はサルフェイトが基準より多く検出され胃腸障害を起こす可能性があるということで、しばらくポンプで水を汲み出して井戸を洗い、1週間後に再び水質検査をして安全性を確認することになっている。コミュニティスクール近くの2本目の井戸は問題が無く飲料水として使用を開始する。

 

今まで濁った小川の水が唯一の水源であったルアノの人たちにとって、身近に井戸ができたことは本当に歴史的大事件だ。水が原因だった小児の下痢などの病気もなくなり、人々の生活が改善することは間違いない。

現在診療日にはヘルスポストのわきにマーケットが店開きし一大社交場になっている。今度は井戸の周りに人が集まって近隣の人々が一層活気づくだろう。DSC02938 DSC02922syusyusei