巡回診療同行報告(NPO法人ロシナンテス様)

9月11日、ルアノ地区の巡回診療にNPO法人ロシナンテス様が同行され、その際の報告をいただきましたので、お伝えします。

概要
・ 午前8時頃Chipembi RHCに集合、約2時間後Luanoに到着。
・ 途中、不調を訴える村人(2組の親子)に薬を配布。
・ 到着後すぐはあまり患者がおらず、診療準備をして患者を待つ。11時頃から村人が多く集まり始める。
・ 15時頃には全ての診療が終了し、16時頃にはLuanoを出発
・ リテタ病院までリファラルが必要な幼児がおり、Chipembiを経由しGreat North Roadとのジャンクション(チェックポイント)まで送る。
*RHC=Regional Health Centre

所感
1.当該地域における巡回診療の意義
まず、Chipembi RHCからの移動中、対象地域へのアクセスの難しさを実感しました。もはや僻地医療というよりはジャングル医療なのではないかと思えるほどでした。そして、巡回診療を待つ以外に他の選択肢を持つことが簡単ではないこと、加えて多くの住人に基礎的な医療が必要であることを考えると、住民にとっていかにORMZの存在が重要であり欠かせないものであるかを実感することができました。途中、体調を崩した子どもと母親が道路脇で巡回診療車をまっている場面にも遭遇し、住民の生活の中に巡回診療というものが組み込まれているということも理解できました。
次に、巡回診療はリファラルという点においても、住民たちにとって非常に大きな意味があることも認識しました。当日、診療場所においておそらく母親に抱かれていたのだと思いますが、落下し右脚の骨折が疑われる2、3歳児がおりました。ムレタ医師の判断でChipembi RHCにリファーされ、その後リテタGH まで再度リファーされることとなりました。RHCにはレントゲン機材がないためです。そして、今回は我々の団体車に当該幼児とその両親が乗るスペースを確保できたのでその日のうちに移動することができました。また、来訪していた方のなかには、巡回診療の日に破水してしまったため、ORMZ車でそのままRHCへ行くことができ同日に出産したという母親もいました。もし車がなければ安全に早く移動することは難しかったであろうし、もしかすると不確定要素の多い交通手段による移動や、条件が揃わない状況下での出産になっていた可能性も想像できましたため、タイミングが合ったことも含め、巡回診療の意義は多様な視点から切り取れると感じられました。

2.Nyankangaとの比較
今回、我々のチームがORMZの巡回診療に同行させて頂くのは2回目となります。1回目の同行で訪問したNyankangaとの比較を以下に記載します。
1)妊産婦とファミリープランニングについて
・ Luanoは比較的患者数が少なかったように感じました。しかし、全体に占める妊産婦の数がとても多かったように思います。実際、Chipembi RHCで行われている定例ミーティングに参加した際、LuanoのNHCリーダーが「妊産婦が多い、これはファミリープランニングがうまくできていないからだと考えている」と言っており、その理由をアウトリーチ活動数が少なくタイミングが合わない人もいるからだ、と言及していたことを思い出しました。全体的にどれくらいの人数がおり、どれくらいの家庭がファミリープランニングを希望しているのか等はわかりませんが、診療当日は、妊産婦検診後のファミリープランニングまで多くの女性(妊産婦や子どもを抱えた女性を含む)が長い列をつくって待っている様子をみると、比較的この機会にコンサルしている女性は多いのではないかと思いました。ただし、待ち時間中に女性たちが日陰に入りきらない様子を見ると、もう少し快適な環境を整備できればと感じました。
2)施設環境と診療内容について
・ Nyankangaと違いLuanoには井戸があり、建物も開かれているように見えました。トイレには住民によって作られた手洗い場があり、とても工夫されていましたし、診療時の待合室を建設中であったことから、コミュニティの関与はある程度高いのだろうと推測できました。
・ 近くに学校があるという点はどちらも同じでしたが、この日は診療を受けている子どもが少なかったように記憶しています。NHCリーダーに伺ったところ、Under5検診はしていないということで、その理由は近くの別のアウトリーチサイトで実施したからということでした。また、妊産婦に対して施設出産時に必要となる金額(交通費)や個人で準備・持参しなければならない物品等についてのレクチャーがなされていた点も異なっていましたが、施設出産のために必要な情報がきちんと伝達されておくと事前準備もでき、余計な不安も減るかもしれないため、このような場は非常に重要だと感じました。
・ その他、基本的な診療内容は同様でしたが、診療場所に来ている成人男性の数がNyankangaよりも多かった印象があります。こう言った場に男性の参加を促すことは施設出産時の様々な点における理解や、子どものケアに関してもポジティブな影響がでると思う、と当団体の現地人男性スタッフ(二児の父)も申しておりました。

3.その他
今回の巡回診療視察においても新たな学びを得ることができ、大変有意義な機会を頂けましたこと感謝いたします。当団体の事業は今後具現化していくことになりますが、貴団体の活動や手法などを参考にさせていただき、医療を必要とする人が医療にアクセスできるだけでなく、少しでも質の高い医療を届けられるよう活動計画・内容を考えていきたいと思います。複数回にわたり貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。
               NPO法人ロシナンテス 神野様

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