巡回診療に同行して(大阪大学医学部学生さん報告)

山本香代子先生

 先日はORMZのルアノ地区での巡回診療に同行させていただき、誠にありがとうございました。
 一番印象に残ったところは、僕たちが同行した時の巡回診療が全て現地の方だけで行われていたことです。日本の団体ですので、日本人医師が現地に行って診察をするものだと思い込んでいました。他のNGOを見学させていただいた時にも言われたのですが、ただ日本人が支援しているだけだと、撤退した後には何も残らないと思います。ORMZが、部分的に介入して巡回診療が現地のスタッフだけで回る仕組みを作っていることに驚きました。
 また、現地のボランティアの方のほとんどが非医療従事者であることも、日本との違いを感じました。日本では安全面の問題から、一般人を医療の中に組み込むのは難しいかもしれませんが、ザンビアでは健康な方も共に活動することで医療への関心を高めているように思います。日本でもリハビリなどといった分野でメディカルスタッフと一般の方が協力できる仕組みを取り入れてもいいかもしれないと考えました。
 今回の巡回診療への同行は、見るもの全てが新しく新鮮だったので、良い経験になったと思います。山本先生ならびにORMZのスタッフの方々には心から感謝しております。
                    大阪大学医学部医学科4回生 王 駿平

 この度はルアノ地区への巡回診療に同行させていただき、ありがとうございました。途上国が抱える地域医療の問題と、それに対する取り組みの様子を体感することができました。
 最も印象的だったのは、現地スタッフの働きぶりです。準医師の、2週間毎に行われる巡回診療の度に診療地まで道無き道を4時間以上かけて向かうという話には驚きました。また、ルアノ地区に住むボランティアスタッフも、近くに住んでいるという人でも歩いて3時間かけて来ると聞きました。ボランティアスタッフは診療に来た村人と顔見知りであることがほとんどで、非常に明るく和やかな雰囲気の会話が絶えませんでした。巡回診療を現地スタッフによって行うことは、今後彼らが自立して医療を行うことができるようにという点で重要であると同時に、外国人が提供する医療支援という堅苦しさを取り払う上でも大きな役割を果たしているということを感じました。
 今回参加させていただいた巡回診療では、医療支援のあり方とそれを支える現地スタッフの熱意を目の当たりにしました。先進国としての日本の支援の枠組みと、日本とは違うザンビアの文化や人間性が見事に調和して初めて、これからザンビアが発達していくための礎となり得るのだと思いました。
 医療を行うものとしての心構えを、ORMZの支援の様子や現地の医師、ボランティアスタッフから教わったような気がします。貴重な経験をさせていただきましたこと、改めて御礼申し上げます。            大阪大学医学部医学科4回生 宇野 貴宏

ザンビアの辺地医療を支援する会 さま
 大阪大学医学部4年の 三谷 智樹 と申します。8月24日にザンビアの辺地医療を支援する会 さま のルアノ地区への巡回診療に同行させていただきました。ザンビアにて最末端の医療を味わえ、たいへん貴重な経験となりました。誠にありがとうございました。
 ルアノ地区 ――― そこは政府から見放された地域であると伺いました。首都ルサカから地図の上での距離は遠くないものの、いくつもの山を越えないといけない、また、全く舗装されていない 道なき道 を進む必要があります。我々チーム阪大4人組は、デンボさんの運転のもと 車で片道4時間半をかけて巡回診療先へと向かいました。
 熱帯熱マラリア―――短期間で重症化や致死の可能性がある――が多い地域だと伺いました。私は、ザンビアの辺地医療を支援する会のスタッフのお姉さんの横で、村の人たちがマラリアの検査をされていく現場を目撃しました。簡易な検査キットがあることを知りませんでした、検査紙に患者の指先から採取した血を垂らし5分待つだけで診断していました。1人目の患者として、かわいい少女が検査の小屋に入ってきました。マラリア陽性が出ました。私は非常に驚きとショックを受けました。その後も100人近くの村の患者がやってきて、半数の50人ほどがマラリア陽性という結果でした。マラリアの患者は、ザンビアの辺地医療を支援する会のスタッフから無償でマラリアの薬をもらって帰っていきました。
 准医師のムレタさんの診療では、下痢や荷運びで腰を痛めた人、高血圧、敗血症など多種の病気の患者さんが来ていて、的確に診察し完成されたマニュアルに沿って薬を処方していました。病院のない場所でも治療可能なものもたくさんあることを知りました。
 帰りに車である村を通り過ぎる際、村の男性が私のいた助手席の窓をたたいてきました。「息子がマラリアなんだ、薬が欲しい」と必死に私に訴えかけていました。スタッフからは、薬をのせた車がもう先に行ってしまった、来週来るから…と言って、立ち去ることになりました。短期間で症状が進むマラリアであれば、この1週間が非常に大きく感じました。しかし、行き来の時間が長く日が暮れたら帰れないこと、また、決まった時間の診療以外にも手を広げてしまうと際限がないことから、やむをえず治療ができないことがあるのだということを突き付けられました。末端の医療の課題であり、限界なのかもしれないと、感じました。
 私はザンビアの辺地医療を支援する会 さま の巡回診療を通して、医療の先端に目が行きやすい日本の医療から一歩外に出て、末端への医療を推し進めることが世界規模の医療課題に非常に重要なことであると痛感しました。
 貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。    大阪大学医学部医学科4年 三谷 智樹

山元先生
 2016年8月24日にORMZの活動に参加させていただき、誠にありがとうございました。アフリカが初めての私にとって、大変貴重な経験でした。
ORMZの活動を拝見する前に、ザンビアの医療のトップレベルでもあるザンビア大学の附属病院University Teaching Hospitalにもお邪魔させていただきましたが、ルアノ地区での風景はそれと全く違うものでした。
まず一番驚いたのは道の悪さと交通の不便でした。私たちはボランティアの方のご好意でSUVに乗ってルアノ地区まで行きましたが、当地の人にインタビューをしたところ、なんと14時間をかけて歩いてきた人もいれば、遠くて全く来られない人もいるとお聞きしました。周囲にヘルスセンターのないルアノ地区ではマラリアもエイズも蔓延している中で、医療サービスへのアクセスが一番の問題ではないかと気づきました。国から援助が入ってこない中、自ら仕事を休んで、モバイル診療を月に二回行い、首都ルサカから薬を運んで、診察や投薬をし、住民たちの健康を守ろうとしている、山本先生が率いたORMZの方々をとても尊敬しております。
今までの勉強で先進医療や医療の進歩しか考えていなかった私に、今回の経験はまさに本当の医療の役割を気づかせてくれました。短い時間でしたが、本当にありがとうございました。    大阪大学医学部医学科4年 金 顓

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