ルアノ地区モバイルクリニックに同行して(三重大学医学生-2)

三重大学6年 星長俊輝

ザンビアでの1か月間で、非常に多くのことを学びました。特に山元先生と共にルワノ地区へ行ったことは、一生涯忘れません。片道6時間もの時間をかけて診療をしにいくなんて、日本では考えられないことだと思います。道中火傷の子供の診療をした際は、こんな劣悪な環境での診療なんて、と考えました。また先生が何度も、飲み水ではなく洗浄用の水だとおっしゃっていいましたが、僕は彼らが飲み水に使用するのではないかと疑ってしまいます。そういった環境での診療は、日本からは想像できない苦労だと感じました。ルワノ地区に到着してからは、こんな山奥に一体どれだけの患者がいるのだと驚きました。マラリア感染の子供の多さ、病気のようには見えない大人、先生の話を全く聞かない親子など色々と驚くことも多かったですが、先生を始め、多くの人が情熱を持って診療をしていることに感銘を受けました。恥ずかしいことなのですが、最初はまるで先生がたった一人だけで診療をしていると想像していました。しかし実際は運転手やルワンダさんも情熱的に仕事をしていて、素晴らしいチームだと感じました。その分ザンビアという国に対する危うさも同時に感じました。上田先生も言っていましたが、自分の国のことなのにどうして変えようとしないのか、と僕も感じました。山元先生がおっしゃったように、大統領や国境なき医師団に振り回されたり、官僚が支援金を使ったりなどと聞き、自分の考えが変わりました。今までは支援はすればするだけよいと考えることがありましたが、今では相手国が自立するためにはそれではいけないと学びました。実際に体験したことですが、マラリア予防のキャンペーンに同行させてもらった際、先生がパッキングの日に50クワチャほどで購入した蚊帳を5クワチャという格安の値段で販売しているのに、村の人はタダでくれといった反応をしていました。ザンビアをこうした支援慣れとも言える状況からどうすれば改善できるのか僕にはまだわかりません。ですが山元先生の活動からザンビア全体が何かを考えて変わって欲しいと思います。短い期間でしたが本当にお世話になりました。特に鈴木が入院した際はご心配おかけしました。先生もお体にお気を付けください。ルワノで見た星空は一生忘れません。

三重大学医学部6年 鈴木雅大
(1) 見学内容
私は今回二度に分けて山元先生の活動に同行させていただきました。一度目はルアノ地区への移動診療、二度目は移動診療のための物品の買い付け・物品のパッキングでした。移動診療では首都ルサカから車で5~6時間の移動の後、ルアノ地区で山元先生の診療の様子の見学やマラリア迅速検査のお手伝い、体重、体温、血圧測定のお手伝いもさせていただきました。物品の買い付け・パッキングではルサカ市内での薬剤、必要物品(今回は白蟻対策のための掃除道具)の購入等を見学させていただきました。
(2) 見学を通して感じたこと
 私が今回の見学を通して一番感じたことは山元先生をはじめとしたみなさんの熱意の大きさです。山元先生は2011年から診療活動をされているそうですが、5年間もの間このような活動を継続されていることに驚きました。私は国際ボランティアの団体に所属していた経験があるので国際協力をしている団体をいくつか見てきましたが、国際協力をするうえで一番挙がってくる問題として継続性があると思います。団体によっては資金的な問題や人員的な問題で活動が継続できない場合もあると伺います。見学を通して感じた事ですが山元先生の活動自体も金銭的にも人員的にも恵まれているわけではないと思います。それでも山元先生は「自分がやるしかない!」という強い決心のもと活動されていてその姿がとても印象的でした。スタッフの方も私たちの感覚からすれば十分な給料をもらっているわけではない(ボランティアの方は無償)のに診療、検査、運転など、多くのことをみなさんで力を合わせて成し遂げている姿がとても印象的でした。山元先生の強い意志と行動力がこれだけ多くの人々の心を動かしているのだろうと感銘を受けました。
 また、マラリアの検査を通して感じた事が陽性率の高さです。ルサカで病院実習をしている限りではマラリアの患者を診る機会はありませんでしたし、マラリアの患者はそれほど多くないと聞いていました。しかし、ルアノ地区でマラリアの検査をしてみたところ、自分の感覚ですが6~7割の患者が検査結果陽性でした。個人的な考えですが、これらの地区はルサカに比べて蚊が多く、蚊帳などの防御策も十分に取れていないためこのように陽性率が高いのではと思いました。また、蚊帳を配布しても魚を獲るための網にしてしまったり、現地の人の知識や意識の低さもこれらに拍車をかけているのではと考えました。しかし、迅速検査を導入するようになってからマラリアで死亡する患者が激減したとのことなのでこれも山元先生の活動の元に成し遂げられたことなのだなと思いました。
(3) 謝辞
今回二度の見学をするにあたり、山元先生をはじめドライバーの方、health officerの方、ルアノ地区の方々など多くの方々のお力添えをいただきました。今後の人生で二度とできない大変貴重な経験をすることができました。ありがとうございました。

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