Mobile clinicに同行して(2017年4月26日Luano地区)-2
ルアノ地区の巡回診療に同行して 藤田保健衛生大学医学部6年 浅井ゆみこ
この度は、お忙しい中ルアノ地区への巡回診療に同行させていただき、ありがとうございました。小学生の頃にテレビ番組で世界の医療に恵まれない子供たちの現状を知り、日本という恵まれた環境で暮らす自分にできることをしたいと考えたのをきっかけに医師を志すようになった私にとって、山元先生の巡回診療に同行できることはザンビアでの実習の中で特に楽しみにしていたことのひとつであり、貴重な経験をさせていただけたことにとても感謝しております。
今回、巡回診療の前日のパッキングにも参加させていただくことができ、先生のこれまでの活動についてもお話をうかがうことができました。先生のお話の中で、先生が全力で頑張ってこられたその姿に感銘を受けて協力してくれる人が出てきて、実際に成果が出ていることもある一方、先生の好意にただ甘えるだけの人もいて、医療を提供するだけでなくその提供の仕方や環境づくりも大切であることを痛感しました。お話をしてくださる先生の表情や言葉からは、今自分がしていることに本当に意味があるのか、将来性があるのか不安に思う時もあることが感じられました。その中でも継続的に活動し、現地のスタッフだけで活動が成り立つように仕組みをつくられ、頑張ってこられたことに、先生の強さと優しさを垣間見ることができ、ただ感動し、驚きました。
翌日は朝6時にルサカを出発し、5時間ほどでルアノ地区のHealth Care Centerに到着しました。その行程は半分以上が道なき道であり、途中本当にこんなところを車で通れるのかと思ってしまうような箇所もありました。到着すると、すでに多くの患者さんが建物の周りに人だかりをつくっていました。ボランティアの方が私たちに指示をしてくださり、私はマラリアの検査を手伝わせていただくことができました。2畳ほどの広さの空間でひたすらマラリア検査をこなし、ひと段落ついた頃には既に3時間ほど過ぎていました。おそらく全部で100人以上いらしたのではないかと思います。それを終えて先生が診察しておられる建物へ行くと、まだまだたくさんの方が先生の診察を待っておられました。先生の診察を見学させていただくことができ、一人ひとりの患者さんの話に耳を傾け、聴診器を当て、身体診察をしっかりとり、患者さんにわかるように説明し処方する姿は、日本の診察室と同じであり、限られた資源や時間の中でもしっかりと医療を提供しようとする先生の医師としての使命感をひしひしと感じることができました。また、時間がない中でも私たちにも診察する機会を与えてくださり、その患者さんについても説明していただけて、とても勉強になるとともに、私たちにまで気を配ってくださる懐の広さにただただ頭が下がる思いでした。すべての患者さんの診察が終わるころにはもう日が暮れており、先生もくたくたであったと思われるのですが、とても晴れ晴れとした達成感にあふれていました。
帰りは真っ暗な森を木々の間を縫うように車を走らせていましたが、途中赤ちゃんを抱いた女性が現れ、先生に子供が昨日から発熱しているから診てほしいと言ってきました。「You should have come to the Center today」と言いながらもお母さんから話を聞き、赤ちゃんに聴診器を当てて診察し、お母さんに説明しておられたその後ろ姿がとても印象的で、今でも鮮明に憶えています。
先生に同行させていただいた2日間にたくさんのザンビアのボランティアの方にお会いすることができましたが、みなさん初対面の私にも優しく親切に接してくださり、山元先生に対する信頼を感じ取ることができました。先生も「みんなが本当によくやってくれている」と何度も口にされていて、お互いの信頼関係が築かれていることに感銘を受けました。
この2日間で見聞きし感じたことや考えたことを大切に、今後もより一層励んでいきたいと思います。ありがとうございました。