活動報告(3)2012.11.02「ルアノ地区啓蒙活動」
■センシタイゼーション
ルアノ地区では、最近下痢・赤痢疑いや結膜炎の患者数が増加していますが、人々は小川から汲んできた水をそのまま飲料や水浴に使っています。安全できれいな水を使うことの重要性と、いまだに蚊帳を使用せずマラリアにり患する子どもたちがみられることから、マラリア予防のためにネットが必要なことを住民に伝えるために、ルアノ地区住民・チペンビヘルスセンタースタッフと協議し、センシタイゼーションを実施することになりました。
センシタイゼーションというのは、地区の人々を集めて、ドラマグループ(7~8人ぐらい)を雇って、ドラマや歌、踊りなどでマラリア、結核などの疾病の症状、その予防や治療などについて人々にわかりやすく説明するものです。新聞、テレビ、ラジオなど情報伝達の手段がなく、歌や踊りが大好きな人々にとってはとても有効な情報伝達の手段と考えられています。今回雇用したドラマグループは、普段は学校の先生などそれぞれの仕事をしながら、週に1回チペンビヘルスセンターを中心に活動していて、マラリア、結核、エイズなど約10のトピックスに対応できるように研修を受けています。
■ルアノ地区でのセンシタイゼーションの実施
前の晩に雨が降り、今にも降り出しそうな天気のために、人々の出足はいまひとつでしたが、ドラマグループのパフォーマンスが始まる12時ごろには、150人近くの人々が集まりました。
最初にそれぞれの村の長、ルアノ地区の役職に就いている人、我々の紹介やあいさつ、今日のセンシタイゼーションの内容などが紹介されました。
ドラマグループがマラリアは怖い病気だと歌いながら入場し、太鼓をたたきながら、ダンスが始まります。何人かの住民が飛び入りで参加し、場が盛り上がっていきます。その後で、マラリアのドラマが始まります。娘がマラリアになって、祈祷師(traditional healer)の所に連れていき、おまじないをしてもらい、多額のお金を要求されます。この祈祷師は、ばさばさの髪のカツラをかぶり、顔には奇妙なペインティングをし、実に恐ろしくリアルでした。近づいてきて、祈祷の水をかけるのですが、私は怖くて逃げてしまい、みんなに大笑いされてしまいました。
その後で、コミュニティヘルスワーカーが彼らの家を訪問し、マラリアは夜ネットの下で寝れば予防できることなどを説明します。ドラマが終わると、ヘルスセンタースタッフが、その内容をまとめ、再度ネットが必要なことを人々に伝えます。
その後は、安全な水についての話です。
仲のいい夫婦がいます。二人はどこからか汲んできた水を飲んでいます。そこに2人のコミュニティヘルスワーカーがやってきて、この1人が前回祈祷師をやった人でしたのでまた笑ってしまいましたが、水にはクロリンを加えないと下痢などをして危険だと説明するのですが、夫婦は聞く耳を持たず、クロリンは洗濯に使って、衣類を白くするのだと言って、コミュニティヘルスワーカーを追い出してしまいます。その直後から、妻はおなかの調子がおかしくなり、下痢が始まります。トイレがないので、木の陰で何度も用を足します。みんな大笑いですが、これがルアノ地区の現状です。
妻はつらくて倒れてしまいます。そこに再び2人のコミュニティヘルスワーカーがやってきて、ORS(oral rehydration salts)を作って脱水を予防すること、水にはクロリンを入れて安全な水にすれば下痢が予防できることなどを説明します。ドラマが終わると、ヘルスセンタースタッフが、再度その内容をまとめて終了です。
2時間近くたち、小さな子供たちはやや退屈そうにうろうろし始めましたが、最後のまとめで次々と質問が出たのには驚きました。人々はどうクロリンを使うか知らなかったようでした。使用された言語はルアノ地区で使われているトンガで、私にはなかなか理解できませんでしたが、ヘルスセンタースタッフが要点を説明してくれました。
ネットとクロリンはコミュニティヘルスワーカーやNHC(neighborhood health committee)メンバーがそれぞれ5000クワチャ(80円)、500クワチャ(8円)で販売しています。無料にすればいいと思われるかもしれませんが、無料ですと魚とりの網に使ったり、それこそ洗濯に使われるだけです。
全てが終了して、住民が準備してくれたシマ(トウモロコシの粉を練ったザンビアの主食)とヤギ肉、チキンの煮込んだおかずをいただきました。今日はトマトと玉ねぎがなかったとかで、いつもほどおいしくはありませんでしたが、ヤギ肉がとても柔らかく驚きました。
みなさんがクロリンを使用して下痢や結膜炎の患者が少なくなることを願って、ルアノを後にしました。
ドラマグループの入場
マーケットの出現
祈祷師
ダンスに住民も参加
クロリンの説明