活動報告(2)2012.10.19「ルアノ地区巡回診療」

 シェルター建設が励みに

10月10日ルアノ地区で巡回診療を行いました。突然、郡病院の準医師とチボンボヘルスセンターの助産師が参加できなくなりこまりましたが、郡病院の看護師(男性)が手伝ってくれることになり、彼ならば妊産婦健診・家族計画を任せられるので安心しました。

久しぶりのルアノ地区でしたが、コミュニティスクールの藁屋根は崩れてしまい、大きく青空がのぞいていました。そのコミュニティスクールの後ろにレンガが積まれ、新しい小さな建物が建設中でした。ルアノ地区の住民が少しずつお金を出し合って、巡回診療チームが、雨が降っても仕事ができるようにシェルターを建築中だったのです。

1年間診療を継続し、ややもするとこちらが一方的に医療サービスを提供しているといった感じだったのですが、決して一方通行ではなく、地区住民も私たちの活動をしっかり支えてくれていると確信が持てて、とてもうれしく、励みになりました。

 重症の下痢患者

人手不足でどうなるかと思いましたが、今日は患者数が少なく、合計65名。以前のように薬だけを求めて、家族総出で受診するようなことがなくなっています。

ただ、成人の重症の下痢の患者がいて、脱水が強いので点滴が必要でした。この1年間で点滴が必要な患者ははじめてです。点滴針を固定する絆創膏が3個とも、完全に乾燥して、粘着力が全くなくて使い物にならず、パッキング用のテープを使用しました。

大きな木の陰に休んでもらい、点滴台はないので、木の枝に点滴をつなぎました。そのためか、何度もトイレに行くので(正確にはトイレはありませんが)、そのたびに逆流した、点滴が落ちないと頻繁に呼ばれ、2本目の途中でついに漏れてしまい、抜去しました。

状態も改善し、ORS(oralrehydration salts)の作り方を説明して、血便を伴っていましたので、抗生剤を処方し、家でしっかり休むように指導しました。

マラリアの患者数が激減していました。そのかわり血便を伴った下痢や結膜炎の子供たちが大勢います。尋ねると、みんな川の水をそのまま飲料水として使っているとのこと。クロリン(sodium hypochrorite solution 250mlで約20円)の使用を勧めますが、習慣はなかなか変えられないようです。

15歳未満の妊娠・出産

15歳の女の子が生後2週間の新生児をつれて受診。赤ん坊の全身状態はおちついていましたが、発熱していて、上半身に膿胞が多発していました。重症の皮膚感染症です。

彼女は高校生で、寮でボーイフレンドと関係して妊娠したようですが、その相手は逃げ回っているとのこと。妊娠しただけではなく、ボーイフレンドに性病もうつされたらしく、看護師によると、その治療が不完全なまま出産したらしく、それが赤ん坊の皮膚感染症の原因だと。結膜炎は起こしていませんでしたが、淋菌か梅毒による感染症が疑われ、アモキシシリンを内服させて、ヘルスセンターに搬送することにしました。

ザンビアでは15歳未満の妊娠・出産は非常に多く、大きな社会問題になっています。しかし、生まれてきた子供は家族みんなで面倒をみるので、何とか生きていくことはできます。また、この女学生も子供がある程度大きくなったら、学校に戻れるかもしれませんが、これからたいへんです。

 炎天下の中に残してきた青年のこと

今日は15時過ぎには診察が終わり、16時前にはルアノを後にしました。若いお母さんは別の車がたまたまあってそれに同乗して先にでかけたとのこと。

帰路の途中、パンクして立ち往生している車がありました。その車に乗っていた若いお母さんを定員オーバーのところ無理やり我々の車に乗せて、出発しようとすると、先程まで点滴をしていた青年がよろよろと車に近づいてきます。

彼の病状がよくなるように、神様にお願いするために、みんなで教会に向かっていたとのこと。でも彼を同乗させるスペースはありません。みんなの飲みかけのミネラルウォーターとORSを渡し、とにかく飲み続けるように説明してその場を後にしました。

若いお母さんと赤ん坊はヘルスセンターにお願いして、帰路に着きましたが、日が陰ってきたとは言え、あの炎天下での青年のことがとても気がかりでした。

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荷物を積み込んでいるところ

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荷物を積み終わったところ

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車の全容

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屋根の空いたコミュニティースクール

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建築中の建物