モバイルクリニックに同行して(4/26 ルアノ地区) 三重大学医学部生-2
モバイルクリニックに同行して。(4/26 ルアノ地区)
三重大学 医学部 6年
武内 祐史郎
今回ザンビアにてエレクティブ実習をさせていただいた際に、山元香代子先生が行っている、モバイルクリニックに同行させていただく機会があった。今回はそこで経験させていただいたことと感じたことについて以下に記させていただきたいと思う。
今回私が参加させていただいたモバイルクリニックは4/26にルアノ地区にて行われたものである。私たちのザンビアでの実習は4/3~28までの4週間であったので、実習のほぼ終わりの段階でモバイルクリニックに同行させていただいた形になる。当日私たちは朝の6時にルサカの宿を出発し、2時間ほど走った先にある町にて山元先生と合流し、ルアノ地区を目指した。ルアノ地区を目指し走っている車の中で感じたことは今まで訪れたザンビアの街とはあらゆる面で異なっているということだった。モバイルクリニックに同行させていただくまでにリビングストン、モンゼといった街に行く機会があったのだがそれらの街はきちんとした道が通っているため、移動は容易であったし、水道、電気等も日本ほどではないかもしれないがしっかりとしていた。一方ルアノ地区への道は整備されておらず、荒れ道や小川を車で越えていくサファリのような道であった、もちろんルアノ地区には電気、水道は通っていなかった。
ルアノ地区の診療所到着後は会場設営、子供の体重測定、受付、血圧、体温の測定、マラリア検査、薬の配布などに参加させていただいた。どれも日本で行われていることとは異なっておりとても印象的であった。特にマラリア検査を受けた患者さん64人のうちマラリア陽性であったのが14人というのに驚いた。UTHでの実習の際にルサカ以外の地区ではマラリア陽性の患者さんの数はかなり多いということを聞いていたため、少なくとも半数はマラリア陽性であるのではないかと考えていた、そのため64人中マラリア陽性の患者が14人というのは私にとってとても少ないという印象だったのである。話を聞けば以前マラリアの一斉検査を行ってから、陽性の割合がだいぶと減少したということであった。このことを聞いて、山元先生やスタッフの方々の熱意が目に見える形となって表れているということがとても印象深かった。また、診療所への道中、道端に診療を望む人たちが立っているのをみて、モバイルクリニックがこの地区の人たちの生活の中に組み込まれているのだなという印象を受け、そこに至るまで活動を継続されてきた、山元先生及び現地スタッフの方々の熱意に感銘を受けました。
最後になりますが、モバイルクリニックへの同行を許可していただいた山元先生を始め、運転手の方や、準医師、助産師、ボランティアの方々、今回はこのような貴重な経験をさせていただき誠にありがとうございます。今回経験させていただいたことを糧にして、今後医師になるため勉学に励んでいく所存です。
ルアノ地区のモバイルクリニックに参加させていただいて
三重大学 医学部 医学科6年 小澤 藍
今回、ザンビアでの1ヶ月のエレクティブ実習の中で山元香代子先生の巡回診療に同行させていただく貴重な機会をいただくことができた。
同行させていただく前日に先生の事務所に伺い、先生のご活動のお話を伺うことができた。確実にマラリア患者の数を減らせてきている現状や、井戸などの生活環境が整ってきていることによりルアノ地区の人々の生活が確実に良くなってきていることが分かった。特にcommunity health workerというスタッフをトレーニングし、そのスタッフの方々が先生が地区に行けない間も懸命に引き継いでおられるから成り立っているのだということを先生はとても強調しておられた。そのスタッフの方々の努力により、以前は深刻であったが、最近ではマラリアの死亡例は出していないということだった。地域の方々と連携してこそ継続性のある医療が実現でき、そのようにして地域の人々が自分たちで危機管理をもち支えるシステムを構築していくことが重要なのだと感じた。
ルアノ地区に行くまでの道のりはとても遠く、お話には聞いていたが想像を超える険しい道のりであった。ルアノ地区に着くとわたしは受付の手伝いをさせていただいたが、ひっきりなしに人が訪れカルテを受け取りにくる状況であった。ここでのカルテはノートであるが、たくさんの冊数があり数字をつけて並べて管理されていた。このように継続して記録し管理することの重要性も教育されたことの一つなのかと感じた。受付が終わり次第、先生の診察を見学させていただき、また待っている患者さんの予診もとらせていただいた。多くの方が訪れ、また検査する機械が充実していない中で、その患者さんの問題を見抜き緊急性のあるものかどうかを診断するのは常に緊張感を要するものだと感じた。ここでの診療は通訳のスタッフの方がいらっしゃらなければ成り立たず、医学の専門用語なども勉強されて分かりやすく伝えていらっしゃるように見受けられ、長年の教育の成果と先生とスタッフの方々の信頼関係を強く感じずにはいられなかった。帰り道は車を停めなければいけないアクシデントもいくつかあったが、その度にスタッフの方々が臨機応変に対応され解決されるところにチームとしての絆を感じ、またそのスタッフの方々をとても大切にされ、熱心に教育し、鼓舞されている先生のご様子がとても鮮明に印象に残った。
また、後日JICAのザンビア事務所に伺った際に山元先生がしていらっしゃる活動がCommuity Health Servicesというザンビアの医療制度において最も根底にあるケアの段階であると教えていただいた。自分自身や家族の健康管理について知識が乏しいザンビアの人々に対して直接出向き手を差し伸べる、最も優しい医療の形であり、このような活動が広まっていくことが国の医療を支える上で根本的に最も大切な部分なのだと感じた。
最後になりましたが、この度は貴重な経験をさせていただき深く感謝しております。日本の病院だけを見ていては決して理解できない医療の形を目の当たりにし、大変勉強になりました。今後自分のしたい医療を考える上で新しい選択肢として深く心に刻んでおきたいと思います。この度はお忙しい中、受け入れていただきありがとうございました。
巡回診療に同行して (4/26 Luano地区)
畔柳 有里 (三重大学6年)
初めに、巡回診療に参加させてくださった山元先生をはじめ、ドライバーの方や準医師、助産師、ボランティアの方に感謝申し上げます。
今回体験させていただいたことと感じたことを以下に記させていただきます。
4月26日、私たち(三重大6回生2人、藤田保健衛生大学6回生2人)は、6時ごろLusakaの宿で運転手の方と合流し、Luano地区を目指した。肌寒く、薄手のダウンを着た。アフリカは暑いところだと思っていたので、びっくりした。ザンビアではルサカの町中しか見ることがなかったが、郊外に出るにつれ、どんどん景色が変わっていった。中心の市街地と離れ、いわゆる団地、のような地区を抜け、だんだん草原のような場所を走り抜けた。出発してから2時間ほどの町で山元先生や準医師、助産師さん、見学に来ていた研修の先生と合流し、4駆2台でLuano地区を目指した。
Luano地区に向かう道の途中で、何人かぽつぽつ人が立っていた。巡回診療のことを地区の人たちは知っていて、先生を呼ぶために立っているのだという。そのたびに車が止まって、訪問診療が始まった。1例目は、抗マラリア薬を処方されていた。抗マラリア薬は8時間ごとに内服するのだが、訪問した家には時計がなかったので、日没時と日の出の時に飲むよう言われていた。きれいな飲み水で薬を飲むよう言われて、飲んでいた水が茶色かったのには驚いた。2例目は、皮疹。まずは患部を清潔にするよう言われていた。石鹸と抗ヒスタミン薬を処方されていた。どんどん山奥に行くに従い、まったく整備されていない荒れ道や小さな川を超えていく。
12時ごろ、Luano地区に到着した。まずは会場設営に参加させていただいた。そこでは子供の体重測定、ファミリープランの勉強会、診療記録ノートの発行、血圧と体温測定、診療所、薬の頒布、蚊帳の販売が行われていた。私は診療記録を発行するお手伝いをさせていただいた。そのノートは地区の人ひとりひとりに対して1冊ずつ作られ、段ボールに保管されていた。診療所は一か月に何度か開かれるらしく、たくさんの住民が集まり、にぎやかだった。落ち着いてから、山元先生の診療を見学させていただいた。診察された患者の数は68人でマラリアの検査を受けた64人の中で14人が陽性だった。日本ではほぼ縁のないマラリアがたくさんいて、環境の違いを実感した。そのあと、16時ごろLuano地区をでて、21時ごろLusakaに到着した。
実習中、山元先生から巡回診療を始めたきっかけや、現在の状況などをうかがいましたが、先生の、信念に従う姿や、その先生の熱意に動かされたスタッフの方々の勢いがとても印象深かったです。正直Luano地区につくだけでも道のりが長く、道も悪くて大変で、それだけではなく薬を用意したり、車の準備があったりと維持するのが大変な活動であるにもかかわらず継続される根底にある、熱意に感動しました。
今回、巡回診療に参加させてくださった山元先生をはじめ、ドライバーの方や準医師、助産師、ボランティアの方に今後の人生の糧になるような体験をさせていただいたことに、感謝申し上げます。