巡回診療に同行させていただきました

私は学生時代にガーナでマラリアの研究を行ったことをきっかけに熱帯医学に興味を持ち、将来寄生虫疾患やマラリアが問題となっている地域で働きたいと考えています。ただ調べてみると途上国で働く日本人医師の活動の大半は公衆衛生や基礎研究でした。臨床家として現場で患者さんを診療している人を探すなかで山元先生のことを知り、巡回診療に同行させていただくためにザンビアを訪れました。
現地の様子はHPで拝見していたものの、藁でできた診療所や屋外での予防接種を実際に見るとやはり驚きました。道はかなり改善されたと聞きましたが、やはり険しいものでした。車の調子は悪く、朝5時に出て帰り着いたのは午前3時頃でした。その他にも不自由な部分が多い環境でしたが、その中で奮闘する先生の姿勢に感銘を受けました。特に驚いたのは診療システムです。診療を希望する患者さんは1クワチャ払ってカルテを購入する、カルテには通し番号がふられていて再診時には番号を申告すれば同じカルテを受け取れる、バイタルチェックや検査、処方薬などブースが設けられておりそれぞれでスタッフが対応する。巡回診療に必要な物品はリスト化されていて、山元先生不在の時でもスタッフだけで準備できるようになっていました。日本であれば普通のことですが、電気もガスも建物も薬もスタッフも、何もない環境下でこのシステムを立ち上げるのに先生がどれだけの時間と苦労を重ねてきたのだろうと感じました。今回の訪問で学んだことのなかで最も大きいことは、フィールドは違えども医療の本質は変わらないということでした。鑑別に挙がる疾患やできる検査の幅には違いがありますが、目の前の患者さんに対して、与えられた環境の中でできる限り精一杯のことを行うということ。その点は日本で働く同僚と全く変わらず、なぜかとてもうれしい気持ちになりました。短い間でしたが大変お世話になりました。先生のホスピタリティに甘えてばかりで申し訳ありませんでした。ありがとうございました。

syuサンダラ地区診療
ルアノ途中での診察