活動報告(4)12.11.21「下痢・マラリア・HIV/AIDSに関するワークショップの実施」

■ワークショップの内容

11月2日に、ルアノ地区住民を対象に、ドラマグループによる下痢やマラリアに関するセンシタイゼーションを実施しました。しかし、正直なところ、住民を指導する立場にいるNHC (Neighborhood Health Committee: 地域の保健・衛生を担当する行政上の下部組織) メンバーにも十分な保健・衛生の基礎知識が不足しているのが現状です。そのために、彼らに正しい知識を持ってもらうために、10月19日と11月21日の2日間、下痢・マラリア・HIV/AIDSに関するワークショップを開催しました。

参加者はNHCメンバーとコミュニティヘルスワーカーで、10月19日が25名(うち女性5名)、11月21日が18名(うち女性4名)でした。チペンビヘルスセンターから環境衛生・マラリアプログラムを担当しているEHT(Environmental Health Technician 環境衛生担当者)、看護師、助産師、HIV/AIDSカウンセラーの4人に、3人ずつに分かれて2日間講師をお願いしました。

マラリア・下痢症・エイズに関しての、原因、危険因子、症状、治療、予防法などの基本的情報を説明しました。ルアノ地区の人々はトンガという言語を使っていますが、ヘルスセンタースタッフはみんながみんなトンガを使えるわけではないので、時には通訳が必要でした。

マラリアに関しては、特に蚊帳を使用することの重要性、マラリアと診断された場合、どんなに具合がよくなっても3日間しっかり抗マラリア薬を内服することが強調されました。

下痢症に関しては、クロリンを用いた安全な水の使用や脱水予防のためにORS(Oral Rehydration Salts)が必要であると繰り返し説明されました。

下痢症予防のためには、灌木の茂みや藪で用を足すのではなく、トイレの使用が勧められましたが、これは現状ではなかなかむずかしいようです。

コレラの説明もありましたが、参加者はコレラが空気感染すると信じていたようでした。

下痢の子供を抱えた母親の多くがORSの作り方を知らないので、家にあるどんなカップを使って、どうやって1Lの水を測って、どうやってORSを溶かして作るのか、参加者に実演をしてもらいました。ORSの袋の切り方がわからなかったりと、実際にやってもらわないとわからないことがいろいろありました。また、小川から汲んできた水をそのまま飲むのではなく、安全な水をつくるためのクロリンの使い方も実演してもらいましたが、特に問題なく使用できました。

エイズに関しては、時間が十分になく、ごく基本的な情報の提供だけになりましたが、エイズが母親から妊娠・出産・授乳を通して、子供に感染するといったごく初歩的な知識のないメンバーがいて、とても驚きました。

途中でミネラルウフォーターとクッキーを取りながら講義が続きましたが、みんな真剣に耳を傾けていました。講義が終了して、みんなでシマ(トウモロコシの粉を練ったザンビアの主食)と、チキン・ヤギ肉を煮込んだおかずをいただき、お開きとなりました。

■今後に向けて

わずか2日間のワークショップでは、十分な情報を提供することはできませんでしたが、参加者はとても有意義で役に立った、このような機会がもっとほしいと言っていました。ヘルスセンタースタッフ、コミュニティヘルスワーカーやNHCメンバーと相談して、今後もできる限りこのようなワークショップを開いて、NHCメンバーの保健・衛生に関する基礎知識の底上げを図っていきたいと考えています。

参加者が前回と比べて減った理由として、ワークショップなので、日当がもらえると考えて出席したけれども、実際にはもらえなかったので2回目には参加しなかったらしいのですが、次回からは、そのあたりも含めて事前にきちんと話し合わなくてはいけないと感じました。ザンビアでは、通常ワークショップに参加すると日当がもらえますので、彼らの期待が外れたのは仕方のないことです。

3人のコミュニティヘルスワーカーのうち、正式な6週間の研修を受けているのは1人だけだと聞いてびっくりしました。そして、唯一の研修を受けたコミュニティヘルスワーカーは、ルサカの高校に行っていて、ふだんはルアノ地区にはいません。患者のフォローアップをがんばってきちんと実施しているマチラ氏は、わずか2週間ヘルスセンターで研修を受けただけとのこと。来年度は、マチラ氏も含め、6週間のコミュニティヘルスワーカー研修を実施できたらと考えています。

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講師の説明

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真剣に耳をかたむける参加者たち

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女性の参加者

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絵を使ってのコレラの説明